金沢で大麻取引横行 野菜、ブロッコリーなど隠語多用 SNS悪用、県警警戒

金沢市内での大麻密売をうかがわせる交流サイト(SNS)の投稿が複数確認されていることが11日、捜査関係者への取材で分かった。投稿には「大麻」や「手渡し」を意味する隠語が多く使われており、直接的な表現を避けて違法な取引が横行している可能性がある。石川県警が17人を逮捕した大麻事件では、密売人がSNSを悪用して100人超の顧客に売買したとされる。県警は若者を中心に、SNSを通じて大麻が安易に入手できる状況にあるとみて警戒を強めている。 捜査関係者によると、大麻は「野菜」や「ブロッコリー」の隠語で表現される。X(旧ツイッター)で見つかった投稿の中には、ブロッコリーの絵文字とともに「金沢手押し」と記されており、「金沢で大麻を手渡しで取引する」を意味しているという。 投稿の中には、大麻を1グラム当たり4千円で販売することを示しているとみられる「g/4000」の表記のほか、大麻成分が含まれた液体「大麻リキッド」の隠語とされる「蜂蜜」の絵文字も確認された。 同じアカウントの人物は別の投稿で「七尾 お求めの方多ければ向かわせます」や「詳しいことはシークレットチャットにて」などとも記載。Xからメッセージが自動的に消去される通信アプリへ誘導しており、「そこで、具体的な代金や受け渡し場所などを伝えている」(捜査関係者)。 ●摘発者6割超、10〜20代 県警は昨年、大麻が絡む事件で46人を逮捕・書類送検した。このうち20代が25人と最も多く、10代は4人おり、大麻摘発者の6割超を10〜20代が占めている。今年上半期(1〜6月)の摘発者は16人(前年同期比6人増)で、このうち20代が11人と約7割だった。 県警が摘発し、9日に発表した大麻密売事件では、愛知県などに住む密売人4人はSNSの広告で客を集め、金沢市内のコインパーキングや路上で手渡ししていたとみられる。金沢市を中心にした県内の10〜40代の顧客13人が逮捕されたほか、大学生を含む20〜30代の11人が書類送検され、大麻が石川の若い世代に浸透している実態が浮き彫りになった。 ●「無害」の誤情報も 若者の乱用が目立つ理由について、捜査関係者は入手のしやすさを指摘する。末端価格は覚醒剤が1グラム当たり6万円台なのに対し、乾燥大麻は1グラム5、6千円とされる。インターネットで「大麻は危険ではない」「無害」という誤った情報が流れているのも、流通の一因とみられるという。 捜査幹部は、大麻には幻覚作用があり、人の認知機能に悪影響を及ぼす恐れがあるとし、「覚醒剤などより強力な薬物に手を出す危険性が高まる。密売人や末端の乱用者を徹底的に取り締まる」と話した。

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