反捕鯨ワトソン容疑者、国際手配解除「日本の復讐からついに解放」

【AFP=時事】国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)は、反捕鯨団体「シー・シェパード」の創設者、ポール・ワトソン容疑者(74)について、加盟各国に身柄拘束を求める「赤手配」を解除した。ワトソン容疑者は22日、日本の捕鯨船による「復讐(ふくしゅう)」からついに解放されたと述べた。 ワトソン容疑者は声明で、「ICPOは私に対する赤手配を公式かつ永久に解除した」と述べ、自身への容疑は「政治的動機に基づくもの」だと付け加えた。 ワトソン容疑者は、海上で捕鯨船と衝突するなど過激な戦術で知られており、ICPOは日本の要請を受けて赤手配していたが、今回の措置は「不相応」であると判断したと、ワトソン容疑者の弁護人ウィリアム・ジュリー氏は述べた。 ワトソン容疑者は、自身が運営する海洋保護慈善団体「キャプテン・ポール・ワトソン財団(CPWF)」が発表した声明の中で、「2012年5月にドイツのフランクフルトで初めて拘束されて以来、日本の捕鯨船は14年間私を追いかけてきた」と主張。 「非常に強力な国家が無限の資源を用いて信じられないほどの追跡を行ってきたが、彼ら(日本)の復讐と無慈悲な迫害からついに解放された」と続けた。 ICPOの報道官はAFPに対し、ICPOによる適切な個人情報処理の確保を担う「ファイル管理委員会(CCF)」が、世界中の警察に容疑者の身柄拘束を要請する赤手配を削除したことを確認した。 カナダと米国の二重国籍であるワトソン氏は昨年7月、日本の要請を受けてICPOが2012年に発行した赤手配書に基づき、デンマーク自治領グリーンランドの政庁所在地ヌークで拘束された。海上保安庁は、2010年2月に南極海で発生した日本の調査捕鯨船乗組員に対する傷害、器物損壊等の事件の共犯として逮捕状を取得し、国際手配していた。 だがデンマークは日本の身柄引き渡し要請に応じないとの決定を下し、同年12月に釈放された。 ワトソン容疑者は同年12月20日、子どもたちを学校に通わせているフランスに戻った。 ■日本の逮捕状 ICPOの報道官は、「ワトソン氏に対する赤手配の削除は、ICPOによる個人情報処理が同機構の定款と規則に準拠していることを確保する任務を負う独立機関であるCCFによって決定された」と説明。 「これは、事件の内容や2010年に発生した出来事に関する判断ではなく、ICPOのデータ処理規則に基づく決定だ」「CCFの決定は、デンマーク王国がワトソン氏の身柄引き渡しを拒否したことを含む新たな事実を踏まえて行われた。これは通常の手続きに沿ったものだ」と付け加えた。 ジュリー氏は声明で、CCFは赤手配が「ICPOの基準を満たしていない」と判断したと述べた。その理由として、容疑に不相応な措置であること、ワトソン容疑者の関与が間接的なものにとどまっているとされる点(この点は異論がある)、2010年の出来事から相当の時間が経過している点、デンマークがワトソン容疑者の身柄引き渡しを拒否した点、そして他の複数の国が日本の身柄拘束・引き渡し要請に応じなかった点を挙げた。 さらに、CCFはこの事件を取り巻く「政治的要素」の存在を指摘。こうした政治的要素が事件に「本来の犯罪的性質や純粋な法執行上の利益を超えた重要性」を与えていると主張した。 シー・シェパード・フランスは赤手配解除を「道徳的かつ象徴的な勝利」と称賛したが、ワトソン容疑者の移動の自由はまだ回復していないと警告。 X(旧ツイッター)で、「日本の逮捕状は有効であり、どの国も執行を選択する可能性がある」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

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