『ベートーヴェン捏造』本編映像公開 ベートーヴェンとシンドラーの“運命”の出会いが

9月12日に全国公開される山田裕貴主演映画『ベートーヴェン捏造』の本編映像が公開された。 かげはら史帆による『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(河出文庫刊)を映画化する本作。芸人、タレントとしても活躍するほか、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)で第32回橋田賞、東京ドラマアウォード2023など数々の賞を受賞、最近では『ホットスポット』(日本テレビ系)を手がけたバカリズムが脚本を担当した。監督を務めたのは、星野源、藤井風、PerfumeなどのMVを手がけた関和亮。バカリズムとは映画『地獄の花園』、『ケンシロウによろしく』(DMM TV)に続くタッグとなる。 本作は、大型LEDディスプレイに背景3DCGを表示し、その前で被写体を撮影するという最先端のバーチャルプロダクション撮影を実施。リアルなロケーションのようにバーチャル背景を撮影することで、日本に居ながらにして19世紀のウィーンを再現した。さらに、劇中ではベートーヴェンの珠玉の名曲を惜しみなく使用している。 山田が演じるのは、ベートーヴェンへの愛が重すぎる忠実なる秘書・シンドラー。そして、シンドラーから熱烈に敬愛されるベートーヴェン役を古田新太が演じる。そのほか、染谷将太、神尾楓珠、前田旺志郎、小澤征悦、生瀬勝久、小手伸也、野間口徹、遠藤憲一が共演に名を連ねている。 公開された映像に映し出されるのは、エリートとして将来を嘱望された大学生だったシンドラー(山田裕貴)。しかし、当時の学生運動に傾倒しすぎて逮捕されてしまい、ヴァイオリニストとして生計を立てる毎日を過ごしていた。そんなある日、出席したとあるパーティーで、少年時代から憧れていたベートーヴェン(古田新太)を見つける。「彼の作品をすべて聴き、自分でも演奏した」というほどのベートーヴェンファンであるシンドラーの胸は高鳴るが、実際のベートーヴェンは重厚感のある楽曲とは真逆の人物。長身でダンディーな姿を想像していたシンドラーの目線の先にいるのは、「ちっちゃくて小汚い中年男性」。一瞬、露骨にがっかりした表情を浮かべるものの、逆に「あんなに小汚いおじさんが、あの素晴らしい名曲の数々を生み出したなんて!」と、褒めているのか貶しているのか分からない感動を抱き、満面の笑みでベートーヴェンに近づく。挨拶をするため背後から声をかけるも、ベートーヴェンは無視。「俺みたいな見ず知らずの若造なんて、目も合わせてもらえないんだ……なんだよこいつ、大物ぶりやがって!」「お前の噂、言いふらしてやっからな!」と心の中で悪態をつくシンドラー。 しかし、肩を落として立ち去ろうとしたシンドラーを劇場スタッフが呼び止めたことでベートーヴェンがシンドラーに気づくと、「これに書いてもらえる?」と気さくな笑顔で手にしていた会話帳を差し出してきた。そこで、ベートーヴェンが耳を患っていたことを思い出したシンドラーは、「学生の頃からあなたの大ファンです」と会話帳に記し、熱い想いを伝える。そんなシンドラーに対し、嬉しそうに「へえ〜、ありがとう!」と握手を求めるベートーヴェン。憧れの人の神対応に感激し、手を握るシンドラー。「少しニュルッとしていたけど……嬉しかった!!」という正直すぎる感想とともに、「魔法にかかったかのように、彼の虜になった」というモノローグにあるように、シンドラーのベートーヴェン愛が決定的なものとなった瞬間だ。 さらにベートーヴェンは、シンドラーを秘書に勧誘する。ただ“ファン”というだけで秘書に誘う、距離感ゼロのベートーヴェン。そして、それを冗談や社交辞令と疑うことも一切なく、真に受けて「ぜひ!」と即答するシンドラー。ベートーヴェンを見かけてから情緒の乱高下が激しく、無邪気に憧れの人への感動をあらわにする様子がかわいくもあるシンドラーと、世界的な音楽家でありながら気さくな天才・ベートーヴェン。やがて現代まで続く音楽史上最大の捏造(スキャンダル)へとつながる、まさに“運命”の出会いのシーンが描かれている。

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