カンボジア詐欺事件 「拠点に1千人」の証言も 日本以外も標的か

カンボジア北西部・ポイペトを拠点とした特殊詐欺事件で、愛知県警など6県警の合同捜査本部は21日、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で、19~52歳の日本人の男女29人を再逮捕したと発表した。逮捕は4回目。認否は明らかにしていない。 捜査本部によると、拠点には、かけ子など詐欺グループや敷地内の施設で働く人など約1千人がいたとみられることが新たに判明。他のアジア地域からの渡航者もいたとみられ、捜査本部は詐欺組織が日本以外も標的に特殊詐欺をしていた疑いがあるとみている。 29人の再逮捕容疑は、5月21~27日、現地から警察官などをかたり愛知県尾張旭市の女性(61)に「マネーロンダリング(資金洗浄)事件に関与している嫌疑がある」などとうその電話をかけ、現金200万円を振り込ませて詐取したというもの。 容疑者らの説明では、拠点は塀で囲まれ、内部にはコンビニや風俗店、床屋などがあった。こうした関連施設の従事者も含め「1千人ほどの人がいた」という複数の証言がある。他のアジアの地域からかけ子をするために渡航してきたとみられる人もいたという。 毎月5日が「給料日」とされ、容疑者らは幹部の部屋で報酬を渡されていた。メッセージアプリで詐欺の成果が共有され、高額をだまし取った際には、お互いをたたえ合うようなやり取りもチャットでしていた。拠点ではパスポートは取り上げられたといい、捜査本部はかけ子らが逃亡するのを防ぐ目的があったとみている。 この事件では、29人のほか、現地で指示役や通訳を担ったとされる中国籍の夫婦も7日に組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕されている。 ◇ 名古屋地検は21日、愛知県知多市の男性が現金500万円の被害にあったとされる組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)事件に関し、29人のうち16人を詐欺罪に切り替えて起訴した。13人は20日に処分保留とした。認否は明らかにしていない。(高橋俊成、石垣明真)

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